【話ネタ】童謡「アブラハムの子」の謎解き

 




 

 

アブラハムには7人の子
1人はノッポで
あとはチビ
みんな仲良く暮らしてる
さあ踊りましょう

 

原曲作者:不明
訳詞:加藤孝広

保育園や幼稚園の「おゆうぎ」の時間や、小学校の「キャンプファイヤー」などで、歌ったり踊ったりしたことがあるでしょうか?

遊び方の説明が難しいので、YouTubeに載っていた動画を貼らせていただきます。

右手➡左手➡右足➡左足
➡頭➡お尻➡回って➡おしまい

この「アブラハムの子」という名の歌、もともとアメリカで生まれた童謡(原題「Father Abraham」)なのですが、実は作者が分かっておらず、その歌詞の意味も正確には分かっていないといいます。

よく知られている日本語の歌詞は、名古屋YMCAの加藤孝広さんが1960年代に“翻訳”をしたものということです。

僕はなんとなく楽しい踊りという印象を持っていましたが、手足の動きがコミカルと捉えれば捉えられるし、ちょっと不気味と捉えれば、そう捉えられるような気もします。歌詞を考えてみても、一人は背が高くてあとは小さいという部分もなんだか意味深な感じがします。




YMCAの加藤孝弘さんが日本語に訳したものということで、英語の原曲もさぞ同じメロディーだろうと思っていたのですが、調べてみるとその内容にかなり違いがあることが分かりました。

コチラがその「Father Abraham」

さらに、メロディーどころか歌詞も違うことが判明しました。

まずは身体のパーツとその動き

右腕➡左腕➡右脚➡左脚
➡頭➡アゴをあげる➡回って➡座る

 

そして歌い出しの歌詞の日本語訳はコチラ

父なるアブラハムにはたくさんの子がいた
たくさんの子には父なるアブラハムがいた
私もあなたもそのうちの一人
さあ主を讃えよう

なんと、アブラハムにはたくさんの子がいて、私たち人類はみんなアブラハムの子だよ~♪という風に歌っていたのです。

どういうことだろうと思って色々とネットで調べていると、「父なるアブラハムには7人の子がいた、7人の子には父なるアブラハムがいた」という日本語の歌詞に似たバージョンも存在することが分かりました。

例えばコチラの歌詞

父なるアブラハムには7人の子がいた
7人の子には父なるアブラハムがいた
彼らは一切笑わず、決して泣きもしない
ただやることといえばこんなこと…

これはこれで不気味ですね。。。(笑)

それはそうと、全ての歌に共通するアブラハムというのは一体何者なのでしょうか?




アブラハム

アブラハムという人物、それは旧約聖書の「創世記」に登場する預言者(神の言葉を伝える者)アブラハムであるという説が濃厚とのことです。

アブラハムはユダヤ人とアラブ人の伝説上の父祖とされていて、彼にはサラという名の妻がいました。

聖書の中には、アブラハムもサラも高齢だったため子どもの出産は望めないと考えていましたが、神は2人に子どもが生まれることを予告した後で、「生まれたら『イサク』と名付けなさい」と伝えたという記述があります。

そしてまさに神が予告したその時期に、2人は子どもを授かり、神に言われた通りイサクと名付けたのでした。




その後サラが亡くなると、アブラハムはケトラという後妻をめとり、彼女との間にさらに6人の子供を授かります。すでにその頃サラとの間に生まれた子イサクは40歳に達していたため、6人の兄弟たちとはかなり年齢が離れていたことになるわけです。

この聖書の記述が童謡「アブラハムの子」の歌詞の由来になったと考えられています。

1人(イサク)はノッポで
あと(他の6人の子どもたち)はチビ




アブラハムには他にも子どもがいた

これで謎は解決かと思いきや、ひとつ引っ掛かることがあります。

本妻サラの実子イサクが生まれる前、自分に子供が生まれなかったサラは、自身の女奴隷であるハガルを夫アブラハムのもとへ連れていき「彼女に子供を産ませて、私に子供を与えてほしい」とお願いしたとされています。

そして侍女ハガルはアブラハムとの間に息子イシュマエルを授かります。

ところがそれからというものの、侍女であるハガルは主人であるサラを軽んじるようになり、息子のイシュマエルも後に幼いイサクをからかうなどして、主人であるサラの怒りを買うはめになります。日本史でも出てくるような内容ですね(笑)

結果的にサラはアブラハムに対して「私の子(イサク)が生まれたんだから、あの女(ハガル)とイシュマエルを追い出してよ!!」と迫ります。

アブラハムは板挟みにあって苦しみますが、神からの「本妻サラの言う通りにしてあげないさい」というお告げの元、最終的にハガルとイシュマエルを荒野に追い出しました。

この聖書の記述から分かるように、アブラハムには実際には8人の子どもがいました。

ところが童謡「アブラハムの子」ではおそらく、イシュマエルはないものにされているというわけです。

 

少しスッキリしないかと思いますが、僕の知る内容は以上です。

楽しいアブラハムの子という遊びに対する印象がすこし変わるでしょうか(^_^)

 

 







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