エベレストベースキャンプ紀行①

この記事では2020年3月1日から9日間かけて行ってきたEBC(エベレストベースキャンプ)トレッキングの様子を書いています。

 

こんにちは〜!

つい最近まで、文明やテクノロジーから身を離して、ネパールの山の中を歩いていました。

そこで今回僕が単独で行ってきたエベレストベースキャンプ(5,364m)までのトレッキングの様子を、夜な夜な震えながら付けていた日記を元に書き遺しておきたいと思います。

「エベレストベースキャンプ」と聞けば僕の家族のように、“危険なんじゃない?”⠀“普通の旅行では行けない場所でしょ?”⠀といったような印象を持たれる方がいるかもしれませんが、実際に行ってきた僕としては、しっかり準備さえしておけば、“日本の山を歩いた経験がある方であれば誰でも、単独でも行くことができる場所”⠀といった感想です。

ただ時間がかかるので、あまり甘く見過ぎるのは良くありませんが。

また今後別の記事で、トレッキングの装備や心構え、役に立つ情報などについては書きたいと考えていますので、その際はお付き合いいただければ嬉しいです。

そしてこの「エベレストベースキャンプ紀行」はちょっと文章が長いので、暇な時に適当に流して読んでいただくくらいが良いかと思いますm(__)m

それではよろしくお願いします〜



2020年3月1日(日)

朝4時過ぎ、ネパールの首都カトマンズの市街地タメルからタクシーを捕まえてネパール空港(国内線ターミナル)に早めに到着、飛行機の出発は6:15!

早すぎて空港スタッフ含め、全く人影がありません。しかもまだ国内線ターミナル自体、開いてすらいませんでした。

ただありがたいことに空港にはWi-Fiが飛んでいて、入り口に充電スタンドもあり、それらは無料で使うことができます。ちなみに国際線ターミナルは夜間も開いているようで、そちらで時間を潰してから国内線ターミナルにやってきた現地人の姿もありました。

寒い中待っていると、バックパックを背負ったトレッカーたちが空港の入り口に続々とやってきました。ネパール人ガイドやポーターをお供にした西洋人トレッカーが多かったです。

5時半にようやく空港のゲートが開き、意味があるのかないのか分からない荷物検査の機械に荷物を通す儀式を経て、中へ入れてもらえました。

今回僕が乗るSummit Airのカウンターは一番奥にありました。規定では10kgまでの預け荷物で、捨てる前の飲料水含めてこの時僕の荷物は13kgほどありましたが、重さについては特に何も言われなかったですね。

国内線ターミナルの待合所は簡素なつくりで、大きな空港よりもなんとなく物事が現実的に感じられて、これから山旅に出ることへの程よい不安と高揚感で胸がいっぱいになりました。

そうこうしてるうちに

「ミスター ナオヒロ〜 ヨ〜ダ〜」

という名指しの放送がかかり、ゲートまで呼び出されました。サミットエアーの搭乗お知らせアナウンスを聞き逃していて、僕が最後の搭乗者だったようです(笑)

こちらが今回乗る小型機、エベレストベースキャンプトレッキングの玄関口となるLukla(ルクラ)という町まで、約30分間のフライトです。

機内はこんな様子で、多国籍感がありました。

離陸前、僕の席からはすぐ目の前に操縦室が見えたのでワクワクしたのですが、その後キャビンクルーによってカーテンが閉められました。

そしてキャビンクルーがまたやってきて、ザルに乗っかった何かを僕の目の前に差し出してきました。

とりあえずそれぞれを手に取ったは良いものの、アメは分かるけど、この白いフワフワした物体は一体何???

聞くと「耳用のコットンです」とのこと。

言われた通りに半分にちぎって左右の耳に入れると、たしかに機体の音が遮断されました。

コットンに耳栓としての使い方があったとは!

僕は左側の一番前の一人掛けシートに座りましたが、往路(カトマンズ →ルクラ)の座席のおすすめは、左側の一人掛けシートの、前から2列目以降で、特に翼で展望が邪魔されない席です。

※ちなみに僕の使った航空機での座席は早い者勝ちでした。

僕は一番前の席だったので少し外が見えづらかったのですが、二列目以降では世界の屋根ヒマラヤがこんな感じで左手いっぱいに見えます。

そして前を向くと、朝日で操縦士のシルエットがカーテンに映っていて、なんとも幻想的な様子。。。何より普段乗っているジャンボジェットよりも“俺いま、飛んでるなぁ感”⠀がしっかりとありました。




パフォーマンスなのか、飛行機は山すれすれのところを何回も飛び

おいおい、こんな低空飛行してたら山にぶつかるよ!!

というところでルクラ空港に無事着陸。

正直、胸を撫でおろしました。

朝7時のルクラの町はまだ日の出前で冷え込んでいて、これからがトレッキング本番だというのに、自分の持ってきた防寒装備が急に不安になってきました。

まあ街道沿いには人が生活してるんだから、なんとかなるでしょう!ということで気を取り直します。

それよりも大気汚染の激しいカトマンズから山にやってきたんだなぁと、久しぶりの澄んだ空気を体いっぱいに吸い込みました。

やっぱりこっちの方が自分に合ってるな。

僕が乗ってきた飛行機は、今度はルクラ発の乗客を乗せて、カトマンズに帰っていきます。

 

 

荷物を受け取り、空港を出て左すぐのところにあるトイレに立ち寄って、特に空港でやることもないので、そのままトレッキング開始!

空港のあるルクラという町は、朝早く静かさに包まれていて、お店がほとんど閉まっていたこともあり普通にスルーしたのですが、下山後にまたやって来た時には、こんなに賑やかな町だったのか!と驚愕したものです。

登山道では、朝早くからたくさんのポーター(荷運びをする人)たちにすれ違いました。

彼らが歩きながらBluetoothのスピーカーでかけている音楽は、牧歌的なものが多いです。

僕は以前ネパールのアンナプルナという山域をトレッキングしたことがあるのですが、その時も同じようなスタイルのポーターが、まさに同じような牧歌的な音楽を流しながら歩いていました。

彼らが好んで聴く音楽は、「高地」という地理的な条件や宗教性なんかがひょっとしたら影響するのかもしれませんが、「山」や「自然」を連想させるといいますか、何よりも爽やかでいいんですよね〜

そして、トレッキングを始めてわりと序盤から、同じ方向に登っていく荷運びのロバの群れに何度も出くわしました。

前を見ても後ろを見てもロバ・ロバ・ロバ!!!

あ″ーーー!

と、ファンクの帝王ジェームズブラウン並みの叫び声をロバに浴びせるロバ飼いたちの姿が見られるのも、ネパールトレッキングの醍醐味と言えます。

ロバたちが手積みの石段を踏み進めるごとに、ブッブブーーー、ブ、ブブ、ブッといった感じで屁をこく感じも、実に可愛げがありますし、足を踏み外した反動で、

もひとつおまけに、ブッとかされると、こちらだって疲れを忘れて笑顔になってしまうものです。

この日が特別なのかもしれませんが、ロバの量が本当に多くて多くて、吊り橋のところで何箇所かロバと人の渋滞ができていました。

ロバ使いは罵声のようなものを掛けながら、棒切れのムチを使って、動きの悪いロバを手加減なしにブッ叩きます。

これは絶対に笑ってはいけないよりいくらか痛そうだ・・・それでも何十キロという荷物を体に括り付けられたまま、ロバは文句一つ言えないままに歩みを進めなきゃならないのです。そして気のせいかロバが悲しい目をしてる動物のように感じてきます。

道はロバの糞尿でグチャグチャ、時々石段はツルツルで、転んだら一巻の終わり。動きが悪いロバは遠慮なく暴言を吐かれながら叩かれる。これはトラウマになりそうな光景でもあります(笑)

その後もロバと一緒に歩いていて、最終的にこんなことを思いました。

“来世は死んでも荷揚げのロバにはなりたくない”

だからこそ現世での善いカルマが重要になってくるのですねw

 



早朝のルクラでは思いがけない寒さに驚きましたが、日中になれば全然平気でした。

むしろ日が差し込みさえすれば暑くて、Tシャツ一枚でも快適な時間帯だってあったくらいです。

途中、トレッキング街道沿いのチェックポストでパスポートを見せて、入域料として2000ルピーを払います。

本当はルクラにチェックポストがあるようなのですが、ネパール人のお姉さんに「あなたネパール人みたいな顔してるから、きっとローカルと間違えられてスルーされたんだわ(笑)」と言われました。

まあネパール顔した僕には、よくあることです。

このチェックポイントから今日の目的地ナムチェバザールまでは6.7時間ほどとのことでした。

よし頑張ろう!まだまだ行ける!

ポーターもロバも、もっと重いものを背負って、もっと長い距離を歩いてるんだぜ。

モンジョという村でランチタイムになったので、なんとなく村はずれの一軒のレストランへ立ち寄り、ネパールのソウルフードダルバートを注文しました。

 

ダルバートを待っている間、「ここに座ってなさいね」と、お店を一人で切り盛りしているおばちゃんが、プラスチックの椅子を外に出してくれました。

外に出てみると、そこは紛れもないエベレスト街道の特等席でした♪

少し良いペースでここまで歩いて来たせいもあり、イスに座ってひと呼吸付き自然に身を任せてみると、風が心地良くて山や畑、青空、そこで働く農民たちが全て一体化しているような心地がしました。

周辺の建物で大工さんたちが木を削ったり叩いたりしている生活音ひとつひとつに、山岳民族の暮らしのぬくもりのようなものが宿っているようです。

しばらくして出されたベジダルバートは素朴で優しい味がして、ダル、カレー、ライス、オニオン、トマトすべてがこの日はお代わりできました。もちろんダルバートの中の野菜類は近くの畑で作られたもの、もう至福のひとときというやつです。

仲良くなった感じの良いおばちゃんに御礼を言って、さらに歩みを進めます。




 

2回目のチェックポストで3000ルピー払いましたが、スタッフは警察含め、働いているんだか遊んでいるんだかよく分からない勤務スタイルで、時を過ごしていました。

ただ僕たち「忙しい国民」として知られる日本人は、こういう姿にこそ、学ぶべきことがあるなぁとも思います。

EBCトレッキングの登山道にはこのような黄色いみちしるべが要所要所(特に分かれ道)に立っているので、方面を知るのに参考にしてください。

 

3時頃、本日の目的地のナムチェに無事到着しました。僕の大好きな山岳救助マンガ「岳」にも登場する場所なので、少し嬉しかったですね。

ナムチェはシェルパの里とも言われていて、山岳民族であるシェルパ族が多く暮らしています。

見てください、これは後日下山時に撮った写真ですが、美しい場所ですよね。

おすすめのホテルを、その辺の地元人に聞くと、すぐ近くの「シェルパビレッジに行ってみたらどう?」との返事!

早速訪ねてみて、ダイニングの雰囲気も気に入り、男性に聞くと500ルピーとのことだったので、疲れていたこともあり他は当たらずに、即決しました。

受付に通してくれた先程の男性に聞くとナムチェのロッジはどこの宿も500ルピーと決まっているらしいのですが、彼はこの宿のスタッフかと思いきや、別の登山客のガイドとのことでしたので、情報の正確性については分かりません(笑)

部屋に案内され、カトマンズ発が朝早かったこともあってか睡魔が襲ってきたので、荷物を解いてひと眠りすることにしました。

まだ夕方ですが、ベッドに備え付けの毛布一枚ではちょっと寒すぎました。実はエベレスト街道の全ての宿でブランケットを借りられることを信じて、今回僕は寝袋を持参していません・・・(笑)ひょっとしたらあとでもっと痛い目に遭うかもしれません。

外を見ると雪が舞っているのが分かりました。

部屋は極寒でしたが、それでも知らない間にウトウトしていました。

適当に目覚めたら暗くなっていたのでダイニングに行き、エッグヌードルを注文して食べました。その際宿のママにお願いして、寝る前に毛布をもう一枚借してもらえることになりました。

ダイニングにはストーブがあったものの、宿泊客が少ないからか火は焚いてくれずかなり冷え込んでいて、広いダイニングに一人きりでインターネットも繋がらず、宿のスタッフとあまりコミュニケーションが取れないこともあり、だんだん心細くなってきました。

“なんで俺はこんな寒くて、孤独なところにいるんだろう”

とかブルーなことを頭が勝手に考え始めたほどです(笑)

おそらく1日がかりで長い距離を歩いてきて、標高が高いということもあり、少し頭がおかしくなっていたのはあると思います。

そして事実、標高が高いところで、僕は悪夢を見やすい体質でもあります。




そんな時、ダイニングの木のドアが元気よく開き、スペインのバスク地方出身だという女性トレッカーが笑顔で入ってきました。この女性のガイドが、先ほど僕を受付に通してくれたネパール人男性だったのです。

スペイン人の彼女は前日にナムチェ入りしていて、高度順応のため2泊して、明日の朝ナムチェを発つ予定とのことでした。

下山時に買えばいいのに、お土産のストールやタルチョ(チベットの祈祷旗)を今日ナムチェで買ってきたらしいです。まあ「モノ」というのはタイミングですし一期一会なので、良いんでしょうけどね。

お互い片言の英語でのやりとりで簡単な話しかできませんでしたが、それでも気を許すには十分で、僕は自分以外の唯一の宿泊客の笑顔に、救われました。

人はこういう環境では、自然と人の温もりを求める生き物なのかもしれません。

というより、人の温もりを忘れてしまった世界は、どんなに貧しいことでしょう。

 

そして20時半を回る頃、約束通り追加のブランケットを宿のママに借りて、自分の部屋に戻りました。

ああブランケットがあったかい。これで今夜は安心して寝られそうです。

の夜は早く、長く、気分的にはもう夜更けのようでした。

さて明日はどうしよう。理想的な登山日程は、高所順応のためにナムチェに2泊ということになっていますが。

この時僕は、恐怖の高山病が自分に忍び寄ってきていたことは、つゆ知らず・・・

 

つづく



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