こんにちは!ナオヒロ(@naohiroyoda)です!
さて早速ですが、「金貸し」と聞いてみなさんはまず何を思い浮かべますか?
高い金利、裏社会、「闇金ウシジマくん」・・・
銀行の「融資」と聞けばマイナスイメージばかりではないと思いますが、「金貸し」という言葉には少なからず悪いイメージがありますよね。おかしなアリ地獄にはハマりたくないものです。
今日はそんな金貸しの風習が残る世にも珍しい神社が、僕の地元である山梨県南アルプス市にあるのでご紹介します!
もちろん消費者金融を勧めるような悪質な記事ではありませんのでご安心ください(笑)
高尾穂見神社について
山梨県南アルプス市には高尾(たかお)という地域があります。東京の高尾と同じ地名で、櫛形山(くしがたやま)という山の中腹の標高約870mのところに位置する山間集落です。
江戸・明治時代には約20~30軒の民家があったそうですが、その後の過疎化の影響で、数年前にはなんと2軒にまで減少してしまった超限界集落でもあります!
穂見神社(ほみじんじゃ)は、そんな高尾にある古い神社です。
平安時代にまとめられた書物「延喜式(えんぎしき)」にすでに穂見神社として登場していることを考えると、少なくとも1000年以上の歴史がある神社だということが分かります。ただそれ以前のいつ頃建てられた神社なのかは詳細不明なのだそうです・・
1936年に出版された『甲斐國古社史考』という書物の中では、「古くは御祭神を白山権現・三体王子(大福王子、大寿命王子、大智穂王子)としていた」と書かれていますが、現在の御祭神は保食神(うけもちのかみ)といって食物全般の神様とされています。五穀豊穣、養蚕成就、商売繁盛にご利益がある神社として多くの人に知られています。
歴史があるとはいっても、どうしてこの山の中にある神社が注目を浴びているのでしょうか。
それは、奇祭と呼んでよいのかは分かりませんが、穂見神社で毎年11月に行われている夜のお祭りがとても珍しいものだからです。
高尾の夜祭
穂見神社で毎年11月22日~23日にかけて行われる夜祭りは「高尾の夜祭」として親しまれ、県内外から多くの参拝者が訪れてます。古くは12月1日~2日に夜通し行われていたことからその名が付いています。
特徴①:太太神楽(だいだいかぐら)
高尾の夜祭の代名詞でもある神楽(かぐら)。神楽というのは神に奉納する舞楽、つまり日本式のダンスのことです。「太々神楽(だいだいかぐら)」はかつてこのお祭りで夜通し舞われていたため「夜神楽」とも呼ばれています。
日本神話を題材とした演目から、無言で奉納される演目まであり、夜祭りの厳かで神聖な雰囲気を作っていきます。
狐(もちろん狐のお面です笑)が神楽殿からモチをまくシーンがあるのですが、そのモチを運よくキャッチして食べると、1年健康でいられると言われています。
プロモーション動画があったので貼っておきます。モチをまくのはこちらの表紙の狐です(笑)
特徴②:提灯行列(ちょうちんぎょうれつ)
今でさえ神社まで道路が舗装されていて車で向かうことができますが、昔はもちろん車なんていう便利なものはありませんから、すべての参拝者が古道を歩いて登りました。特に山梨県外から来た方は相当な苦労があったと思いますが、高尾地区の人が民家を宿として提供する風習も見受けられたそうです。
そして夜祭の日には、穂見神社に向かう参拝者の提灯(ちょうちん)の灯りが、山の中に続いていたといいます。
夜の山の中に素朴な提灯の灯りの行列。この地域のすばらしい風物詩だったことは言うまでもありません。
特徴③:資本金貸し
お待たせしました(笑)
高尾の夜祭には、この記事のタイトルにもある「お金を貸してくれる」という少し変わった風習が残っています。
ちなみに神社がお金(資本金)を貸してくれるという風習は、全国的にもとても珍しいものだそうです!
どういうことか説明していきますね。
まず夜祭当日、おじさんのいる特別な窓口が設置され、下のメニュー表が掲げられます。
※ちなみに夜祭の日以外は、窓口もありませんのでご注意ください。
資本金
壱百萬円 二千円
神社より壱百萬円の章と
新札千円をお渡しします
弐百萬円 四千円
神社より弐百萬円の章と
新札二千円をお渡しします
参百萬円 六千円
神社より参百萬円の章と
新札三千円をお渡しします
四百萬円 八千円
神社より四百萬円の章と
新札四千円をお渡しします
五百萬円 壱萬円
神社より五百萬円の章と
新札五千円をお渡しします
壱千萬円 弐萬円
神社より壱千萬円の章と
新札壱萬円をお渡しします
赤字は実際に神社に納める代金で、2,000~20,000円の設定があります。赤字の左に書かれているのが資本金となります。
例えば2,000円納めた場合は、神社から「壱百萬円の章」と「お札」、そして祈願された「新札千円(半額)」を受け取ることができます。
「新札千円」はもちろん本物のお金なので使用することができますが、「壱百萬円の章」はお金ではないので現金として使用することはできません。換金も残念ながらできません。
じゃーお金貸してくれてることになってないじゃん!!
という声があちこちから聞こえてきそうですが、
はい・・・(笑)期待をさせてしまい申し訳ありませんが、今は本当の意味でお金を貸してもらうことはできません。
神社でしっかりと祈願された半額の新札を、皆さんご自身が資本金に充てるということなのです。
もともとは文字通り、神社から資本金を借りた人が翌年、資本金を倍にして返済するという風習だったのですが、だんだんと借りるだけ借りて翌年返済に来ない人が増え、その結果神社が損をしてしまったため、今のスタイルになったそうです。終戦後のことだそうです。
今では、神社からお守りやお札をいただくような感覚で、商売繁盛のご利益を目的に訪れる方も多いそうです!
だって神社から祈願された新札をいただけるなんて、縁起がいい感じがしませんか?
結果として神社の維持・保全にも繋がるため、僕としてはとてもいい風習として残っていると思うばかりです。
アクセス・詳細
名称 | 高尾 穂見神社(たかお ほみじんじゃ) |
住所 | 山梨県南アルプス市高尾498 |
駐車場 | 普通車約100台(通常期) |
館内施設 | トイレあり |
高尾の夜祭 | <期間> 毎年11月22日~23日 【1日目】昼過ぎから23:00頃まで 【2日目】午前中のみ <問い合わせ> ・南アルプス市文化財課 055-282-7269 ・南アルプス市観光協会 055-284-4204 |
【実際に車で行ってきました!(2018.06.27)】
山梨県道110号線から山の方面に上がっていきます。
途中趣のある空き家が何軒か見えます。対向車にご注意ください。
到着!赤い立派な鳥居があります。(駐車場は赤い鳥居の上です)
門をくぐると神楽殿(写真左)が見えてきます。
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