“幸福な国”の国民が大切にしている考え方

「北欧」という言葉を耳にした時、みなさんはどんなものをイメージするでしょうか?

僕はムーミンやアパレル企業のMarimekkoマリメッコ)、オーロラ、サウナ文化などがパッと頭に浮かびます。

日本にも何年か前から「北欧ブーム」がやって来ていますが、同時に北欧の国々は“幸せな国”としても知られていますよね。

今回はそんな北欧の国々の中で、デンマークにある考え方のお話をしたいと思います。




デンマークは、国連が毎年発表している「世界幸福度報告書」で、今年も世界156ヵ国中最も幸福な国トップ3に入りました。

これはなんと7年連続の快挙でもあります!

そもそも幸福度調査は2012年にスタートしたものなので、最初の年からデンマークは常にトップ3にランクインしていることになるわけです。すごいですねー!

ちなみに僕たちの暮らしている日本はというと、毎年50位前後を行ったり来たりしていますので、まあ可もなく不可もなくといったところでしょうか(笑)

 

“幸せ”という感覚。

それは経済成長や、お金・モノなどの物質的な豊かさと必ずしも比例するとは限りませんよね。

お金があっても不幸な人もいれば、お金がなくても幸せな人もいます。

 

それではデンマーク人が自他ともに幸せだと言えるのは、一体どうしてなのでしょうか?

その答えは、デンマーク人が古くから持っている「ヒュッゲ(hygge)」という考え方に関係していると考えられています。



「ヒュッゲ」

それはデンマーク人の精神性というか、アイデンティティそのもののようなもの。

この言葉は2016年くらいから世界中に広がりはじめ、多くの書籍やテレビなどで取り上げられてきました。

 

インスタグラムで「#hygge」で検索をかけると、今や400万件もの投稿があります。

(たぶんこの状況は全然ヒュッゲではありません。笑)

 

しかし残念ながら日本語にうまく訳せる言葉がないそうです。英語にもありません。

例えば日本に古くからある「わび・さび」「もったいない」といった感覚のように、外国語に訳すときにちょうど良い言葉がないのです。

 

ヒュッゲがどういうものなのかあえて表現するのであれば、

ホッとくつろげる心地よい時間や空間、そんな時に自然とこみ上げてくる幸福感や充実感

というような感じ。

 

ちょっとイメージしてみてください。

暖炉で薪がぱちぱちと燃える音や炎のあたたかさ
キャンドルのゆらゆら揺れる灯り

 

窓から差し込む光で読書をしている時
大切な人と部屋でまったりコーヒーを飲んでくつろいでいる時

 

控えめな色だけど肌触りがよい素材のシャツ
時間をかけて編み上げる手編みのセーター
上質な食材でじっくり煮込んだシチュー

 

こんなものが「ヒュッゲ」なライフスタイルの一例と言えます。

なんとなくいい感じですよね。

 

あー忙しい忙しい!アレしなきゃコレしなきゃ!みたいな、数年前の時間に追われていた僕とは真逆のライフスタイルです(笑)




デンマークにこのヒュッゲという考え方が根付いたのには、デンマークの消費税が25%と高いことも一因と言われています(=出費を最小限に抑え、家を最高の空間にする)が、他にも理由があります。

 

先日テレビで、デンマーク人男性がこんなことを言っていました。

「僕たちの国(デンマーク)は日照時間が短くて、太陽が出ているのが当たり前のことではないんだ。だから太陽が顔を出せばみんな外に出て、イスを広げて読書をしたり、カフェテラスでコーヒーを飲んだりして自由に過ごしているよ」

個人的には色々と気になることばかりだったのですが、日本人女性の奥さんと暮らすその男性の家のリビングにカーテンが取り付けられていなかったのが特に印象的でした。

日の光をめいっぱい取り入れるための生活の工夫なのだそうです。

 

確かにデンマークでは秋から春にかけての日照時間が非常に短く、特に冬の日照時間は平均7時間ほどで、午後4時前にはもう日が沈みます。

しかも一年のほとんどがくもりか雨降りです。

なので太陽が出ているというただそれだけで、幸せな気持ちに包まれるのだそうです。

僕も好きで家に飾っているのですが、一説によると太陽光を受けてあらゆる角度に光を反射させるサンキャッチャーという飾りも、日照時間の短い北欧で、太陽の光を少しでも楽しむために作られたと言われています。



デンマークはもともと、社会福祉や教育など国民の人権が十分に尊重されるような社会制度が整っていると各国で話題になっていました。

ワークライフバランスという点においても、無限に利益を追求するような企業活動、長時間労働を受け入れざるを得ない労働者、といった光景は絶対に見られません。ただ同時に、仕事における無駄を徹底的にそぎ落とし労働時間を短縮することで、生産性の高さもしっかりと保つことが出来ています。

時々日本で聞く「上司の目を気にして、いつまでも会社に残っている若手社員」の気持ちなど、到底理解できないことでしょうね(笑)

 

本当の幸せとは「自分らしさを受け入れてもらえること」「自分の身の丈で暮らすことに満足するということ」という価値観が、誰にでも当たり前にあるからこそ、社会制度にもそれが反映されているのだと思います。

日本にも似たような考え方がもともとありましたが、いつの間にかとても薄れてしまいました。

 

実は「ヒュッゲ」と同じようなコンセプトを表す言葉がある国は、デンマーク以外にもあります。

ノルウェーでは「コーセリ(koselig)」、スウェーデンでは「ミューシグ(mysig)」、オランダは「ヘゼリッヒハイト(gezelligheid)」、そしてドイツでは「ゲミュートリヒカイト(gemütlichkeit)」。

 

あなたの生活には、「ヒュッゲ」な時間はどれほどあるでしょうか?

今週末からもう師走。年末に向けてさらに忙しくなりますが、ぜひこれを機にこたつでみかんでも食べながら、ご自身の生活のことを考えてみてください^^

 






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