【連載】「ルーツの旅」第12話 現地編 最終話

※前回の記事はコチラ「ルーツの旅」第11話です
※最初の記事はコチラ「ルーツの旅」第1話です

 

2019年1月29日(火)

洛陽のバスターミナルを10:15に出発したバスは14:55、ついに车村(車村)という町に到着しました。

 

ずいぶん奥地までやってきた感覚があります。今回の旅は “中国の国土は広い” という当たり前のことを肌で感じた旅でもありました。

 




【洛陽の宿のスタッフが書いてくれたメモ】

洛陽(洛阳・ルオヤン)⇒車村(车村・チゥークン)⇒東家东家・ドンジャ)

事前にダウンロードしておいたオフラインマップを確認してみても、目的地はもう目と鼻の先ということが分かります。(が「東家」)

車でわずか10分!

車で行けるところまで行って、そこから歩くことになるのでしょうか?

山の中や、周辺に何かがあるのか、はたまた何もないのか、とりあえずここまでやって来たので自分の目で全てを確かめたいと思っていました。

車村に来ても、この日はなんだかスッキリしない空模様でした。

今朝、洛陽の宿のスタッフにアドバイスをもらった通り、情報収集のために鎮政府というところを探してみることにします。

とその前に、バス停の周辺に露天が立ち並んでいたので、腹ごしらえにドーナツを買ったり、正月飾りのお店(中国はこの時期が「旧正月」)の人と交流したりしました。

言葉は通じなくても、やさしい人ばかりです。




なかなかローカルな町ですが、こちらも事前にGoogle Mapの航空写真を見て想像していたよりもだいぶ開けた町で驚きました。中国らしく活気があって良い雰囲気です。

お店が立ち並ぶ通りをしばらく歩いていると、地元の銀行と思われる建物の前に軍服を着た人が20人ほど整列していたのが見えました。何かあったのでしょうか。

すれ違った男性に「鎮政府」というメモを見せると、親切にも役所と思われる施設の入り口まで案内してくれました。お礼を言って男性とは別れました。

中国共産党のマークと、スローガンでしょうか。左側の「不忘初心(初心忘るべからず)」だけは日本人の僕にも理解できます。

さあ、中に入ってみましょう!




正面玄関から入って右手に、一般市民が出入りしていて比較的入りやすい雰囲気の部屋があったので、中にいた2人の若い男性職員に、翻訳アプリを使って会話を試みます。

穏やかで感じの良い2人でしたが、英語が通じないこともあって、少し困らせてしまいました。時刻が15:30を回っていたこともあり、僕は今日はどこかに泊まって翌日ゆっくり目的地に向かうつもりでした。

するとそこに、ちょうど良いタイミングで英語を話せる女性が入ってきました。彼女はチャーリーと名乗りました。これはかなり心強いです!

僕がGoogle Mapのスクリーンショットを見せながら「今日はこの近くに泊まり、明日にでも東家に行きたい」と伝えてみると、東家・・・そんな場所は聞いたことないですけど・・・」と言います。

うっそーーーん\(◎o◎)/!!!!!!!!

確かに、壁に貼ってあった周辺の地名一覧と思われる紙を見てみても、東家の2文字は見当たりません。ひょっとして僕はGoogle Mapを信じ込んでいただけで、全然違う場所に来てしまったのでしょうか。。。

冷静に、昔存在していて今は消えてしまった地名なのかもしれないとも思いました。ただ地図上に存在しているのは確かなので、とりあえずこの旅を完結させるためにも、自分自身を納得させるためにも、その場所までは足を運びみたいと思いました(笑)

Google Mapを手掛かりに、職員3人で中国のオンラインマップでも調べてくれましたが、同様にその場所まで車で行けるルートというものはなさそうです。

チャーリーは「一人で来たんですか?」「誰がここへのルートを教えてくれたんですか?」「目的はただ見て回るだけですか?」と色々と英語で聞いてきます。

僕はごまかすつもりもなかったので、「洛陽から今日一人で来て、東家がどんな場所かを見たら、帰るつもりです。」と言いました。そしてどこかに電話で連絡をした後で、「その場所に連れて行ってくれそうな人がいるので、少し待っていてくださいね」と言い残して、部屋を出ていきました。

そう聞いて、期待が高まりました。

チャーリーは数分してまた部屋に戻ってくると、僕を別の部屋に案内して、ソファーで座って待っているように言い残して、また出ていきました。

案内された部屋は、日本の昭和時代を連想させるタバコ臭い部屋でした。




16時近くになり、チャーリーと一緒に女性警官が入ってきました。チャーリーは女性警官に僕を紹介しています。

しばらくして、女性警官の上司と思われるやさしそうな男性警官も部屋に入ってきました。

チャーリーに中国語を話せるか聞かれました。話せたらもう話してるよと内心思いながら改めて「話せません」と伝えて、スマホの翻訳アプリを起動しました。

女性警官は、ショルダーバッグの中身を全て机の上に並べるように、僕に言いました。そしてパスポートも出すように言われ、持っていたスマホで顔写真も何枚か撮られました。

僕は複雑な想いでしたが、男性警官は女性警官の横に立ってニコニコしています。

急な展開に事態がつかめなかったので、何か問題があるのか女性警官に翻訳アプリで聞いてみると、チャーリーが隣で「その場所には行けません・・」と言いました。

その場所が「東家」を意味しているというのは分かりましたが、チャーリーは先ほどその場所に行けると言っていたばかりなので、警察官によるチェックを受けないとその町に行けないということなのだと僕は思いました。もしくは警察官がその場所に同行してくれるのかとも思いました。

念のためにもう一度、「警察官と一緒であればその場所に行けますか?」とチャーリーに聞いてみると、また「行けません」と言います。

すると女性警官が自身のスマホの画面を、僕に見せてきました。

そこには英語でこんなことが書かれていました。

「軍事上の理由で、この地域は外国人の立ち入りが禁止されています」

 

なんてこったーーーーー!!!

その後は何を聞いても「NO」の一点張りでした。男性警官はそれでもニコニコしています。

1時間前にたどり着いたバスターミナルまで僕は警察官によって送られることになり、仕方なく荷物をまとめ、人生で初めてパトカーの後部座席に乗りました(笑)

まるで犯罪者扱いじゃん!と思いましたが、実際にこの地域としては、ルール違反ということだったのです。

 

パトカーの中で翻訳アプリを使って「知らなくてすいませんでした」と伝えると、女性警官は助手席で大丈夫だとジェスチャーしました。

 

見覚えのあるバスターミナルに着いて、3人でパトカーから降りた時、上司の男性警官が初めて僕に向かって、口を開きました。(中国語なまりの英語で)

 

「Welcome to Checun!(車村へようこそ!)」

その言葉と笑顔に報われたというか、僕は外国人立ち入り禁止の場所でもここまで来られて、人のユーモアに触れられて良かったと思いました。

東家の正確な場所を突き止めることはできませんでしたが、帰りのバス車内で、ひとり先祖の霊魂に黙祷を捧げました。

 

「ルーツの旅」現地編

おわり

最後までお読みいただきありがとうございました!

<前の記事  <<最初の記事

 







コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください