※前回の記事はコチラ「ルーツの旅」第1話です
小学校1、2年生の時の授業テーマ
あなたの名前の由来はなんですか?
みんなの前で発表してみましょう。
家に帰って、名付け親である祖父に自分の名前「直大(なおひろ)」の由来を聞いてみると、
直=素直で真っ直ぐ
大=大きい心
つまり素直で心の大きい人間になってもらいたいという、今思えばなかなか良い意味がこめられていることを教えてくれました。
感謝感謝!
今では外国人に英語で自己紹介をする時、名前は「Nao」と略して、日本語の意味を聞かれた時は「straight(まっすぐ)」と伝えるようにしています。
ただ小学生の頃、僕はみんなよりも身長が低いのに「大」という漢字が入っていることに違和感がありました。
「大きな心」だと聞いても、心に大きい小さいがあるの?と考え始めたら、またワケが分からなくなってしまいました。
翌週の同じ授業の中で、かなり緊張しながらクラスメートの前で、“家族に言われた通りに”自分の名前の由来を話しました。
心配していた“どうして「大」を『ひろ』と読むのか?”については、担任の先生を含めて誰にもツッコまれず、とてもホッとして席に戻ったのを今でも覚えています。
小さい頃って、今思えばなんてことないささいなことでも、心配になってしまったものですよね。
―――あれから約10年―――
僕は高校生になりました。
平和学習の一環ということで、高校3年生の時の修学旅行で沖縄に行かせてもらいました。
その頃だったと思います、ふと色々と気になって、祖父母に初めて戦争体験談を聞きました。
日本で戦争体験者から話を聞くことができる機会は年々減っていて、本当にもう残り僅かの期間ではないでしょうか。
例えば、
近所のお寺の釣り鐘(除夜の鐘でならすあの鐘!)が、「供出(きょうしゅつ)」といって兵器製造のための金属不足により回収されてしまった話(回収前に地域の人で撮った集合写真がお寺にあります)
それから祖父が小学生の頃に桑畑で手伝いをしていた時、頭上を飛ぶ2機の米軍機の機銃掃射の鉄砲弾を、間一髪のところでかわしたという話も聞きました。(近くの町では死者が多数出ましたが、これは米軍のただの遊びだったのではないかと話していました)
そして高校生の僕が一番衝撃を受けたのが、祖父の叔父(父親の弟)が戦争で亡くなっていたことです。
「百聞は一見に如かず」とよく言いますが、僕は実家でものスゴイものを見てしまったのです。
※ここからは閲覧注意かもしれません
我が家には「おくら(御蔵)」と呼ばれている白壁の小屋があります。
入口はこんな感じ(散らかっていてスミマセン。汗)
お札がたくさん貼ってあって、いかにもホラーです。
忘れもしない、小さい頃に家で落ち着きなく騒いでいた僕は、一度父親に連れて行かれてこの中に閉じ込められた経験があります(笑)
写真では木戸が開いていますが、2枚式になっていてこれがちゃんと閉まるんスよね。。。
ただでさえ夜は恐い幼少期だというのに、真っ暗で不気味なところに監禁されたのですから、もうひとたまりもありませんでした。
「出してーーーー!」と大泣きしました。
数十秒間、もうマジで死ぬ思いでした。
それ以来、「なおひろ、おくら行くだけぇ?(方言)」と家族に脅されただけで、まるでナマハゲに怯える秋田県の子どものように、背筋を凍らせる子どもでした(笑)
そして誰に言われたでもなく、「おくら(御蔵)」というのは「お暗(おくら)」という意味だと幼心に思い込んでいました。
そのおくらの二階に、こんなものがあるのです。
少し分かりづらいのですが、これは戦死した先祖の鉄兜(ヘルメット)です。
幸いなことに、戦地から他の遺品と合わせて送られてきたそうです。
旧日本軍の★マークがしっかりと埋め込まれていますね。
右のコメカミ部分を銃弾で撃ち抜かれて亡くなったので、写真では黒丸にしていますが、実際にはヘルメットに生々しい穴が開いています。
少し周りが赤っぽくなっていますが、これは血ではなくサビのようです。
祖父から聞くところによると、当たった場所がもう少し上だったら、ヘルメットがカーブに沿って弾が流れていく構造のようなのですが、真横だったので思いっきり弾の衝撃を受けてしまったということなんだそうです。
この先祖の名前は依田 直衛(なおえ)さん
74年前まで生きていた男性です。
やはり名前には僕と同じ、「直」が付いています。
つづく
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