こんばんは、ナオヒロ(@naohiroyoda)です!
今日は久しぶりの怖い話をお届けします。
※怖い話が苦手な方は閲覧をお控えください。
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一昨日の夜中、つまり一応昨日のことということになります。
僕の地元、山梨県南アルプス市の山奥で、ちょっとディープなイベントがありました。
珍しい夜中の企画だったのですが、朝5時から始まる地域活性化イベントの釣り大会に向けて、密漁者が現れないように見張ろう!!という裏のねらいがあります(笑)
タイムスケジュール通り1:30〜3:00、焚き火を囲んで怪談会をしている時です。
もう終盤の3時になろうという頃、暖を求めて、早めに会場に到着した釣り客の男性数人がやってきました。
僕たちはその方々にも、空いている席を提供しました。
夜中にこんな山奥で怪談会をやってるのですから、初めは少しおかしな集団だと思われたに違いありません(笑)
登山が趣味だという一人の女性が、「Nさん、山にまつわる怖い話なんか持ってないですか?」と主催者に話を振られ、谷川岳(群馬県)にまつわる怖い話を披露しました。
谷川岳は死者が多いエリアということもあり、Nさんのお話はとても不思議でおぞましく、場はいい感じの空気感になりました。
Nさんの話が終わると、僕の右側に座っていた釣り客のおじさんの一人が、「僕も山をやる(登山をする)んですけど、山ってのは何があるか分からないですよね」とボソッと言いました。そう言いながら、顔が少し引きつっていたのが印象的でした。
今回はその方から聞いた山にまつわる話です。
「どんなことがあったんですか?」と僕が聞くと、その男性(Aさんとします)は重い口を開き、こんな話を披露してくださいました。
Aさんは学生の頃に山岳部に所属しており、卒業も近くなった頃、単独で北アルプスの“とある山”に登ることを決めました。
年齢は聞いていませんが、Aさんが60~70歳であろうことを考えると、学生の頃ということなのでもう今から4、50年昔のことということになるかと思います。
Aさんは無事に北アルプスのとある山に登頂して、事前に宿泊すると決めていた近くの避難小屋へと向かいました。
避難小屋ってどんなところ!?と思った方は、こちらの外部サイト(YAMA HACKさん)をご覧ください。
『避難小屋』ってなに? 登山するなら知っておきたい利用方法・注意点とは?
避難小屋に入ると、シュラフ(寝袋)に寝ている先客が一人いました。
Aさんが「お邪魔します」というようなことを言うと、そのシュラフの先客は「はい」と返事をしました。
声からすると、どうもシュラフの先客は男性のようです。
小屋にはシュラフの男性とAさんの2人。そしてそのまま夜を迎えることになりました。
シュラフの男性とはそれ以上話をすることはなく、疲れもありAさんもそのまま眠りについたそうです。
無事に山の朝を迎えました。
Aさんが下山に向けて身支度をしていましたが、隣のシュラフの男性はまだ寝ていました。
去り際に「お先に失礼します」と小さく声を掛けると、シュラフの男性は「お気をつけて」と簡単な返事をしました。
天気は2日間、問題なかったようです。
小屋を後にしてしばらく山を下っていると、下から数人の隊がこちらに向かってくるのが見えました。
距離が縮まるにつれ、その隊は登山者ではなく、山岳救助隊ということが分かりました。
「おはようございます」と挨拶をし合います。
お互いに、こんな早い時間にどうしたのだろうと思ったことでしょう。
救助隊「どこから来ましたか?」
男性「昨晩そこの避難小屋に泊まって、今ちょうど下りてきたところです。何かあったんですか?」
救助隊の数人は顔を見合わせて、怪訝そうにこんなことを言いました。
救助隊「小屋には他に誰かいましたか?」
男性「一人男性がいましたけど。」
救助隊「・・・おろくがありませんでしたか?」
男性「いえ・・・」
山に登る方はご存知かと思いますが、おろくというのは登山用語で遺体を意味します。
※「南無阿弥陀仏」が6字であることから「お六」という名が付いたとか、人間は亡くなったら楽になることから「お楽」、これが転じたという説があったりします。
山岳救助隊が話すところによると、前日に2人の登山客がこの山に登り、突然一人の意識がなくなり死亡。もう一人は麓まで担ぎ下ろす体力が残っていなかったので近くにあった避難小屋に行き、シュラフに容れて放置。下山後に通報して、今朝救助隊が登ってきたということのようでした。
おそらく携帯電話もない時代なので、現代のように簡単に救助を呼ぶこともできないでしょう。
Aさんが昨日今日と話をしたそのシュラフの男性の声は、一体なんだったのでしょうか?
聞き間違いだったのか、はたまたシュラフの男性が奇跡的に意識を取り戻したのでしょうか。
調べる術はもうありません。
北アルプスには、今でも約20の避難小屋が残っています。
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